この記事を読んで、実習の評価について考えた。
アプローチとしてはとてもおもしろい方向性だし、従来の教員採用試験よりも、学生が持つポテンシャルを正しく評価できるポテンシャルは秘めていると思う。実習の位置づけも重要性が高まることも期待できる。
ただし、教員養成系大学の附属学校で山のような実習指導をしてきた経験からすると、現状のままでは、採用の決め手になるほど細かい評価は出せないんじゃないかと思う。
自分も、数多く指導した学生のうち、これは向いてない、教員にすべきじゃない、と思った学生に実習で不可が付く評価をつけようとしたこともあったが、大人の事情で評価を緩めざるを得なかった経験がある。
逆に、この学生は筋がいい、教育指導に対する視点もしっかりしてる、是非教員になってもらいたい、と思う学生でも、それほどずば抜けた評価にはならない。せいぜい所見欄に思いを込められる程度だ。
それと、単に早急に教員確保をしたいという動機が前面に出てしまうと、せっかくの試みも濁ったものになってしまいかねない。
文科省も、#教師のバトン なんて上っ面だけのキャンペーンするくらいなら、実習に当たる教員に特別推薦枠バトンでも付与して、この学生は責任もって教員に推せる、という学生にバトンを持たせたらどうか。
その前提としては、担当する教員も、実習生を指導する上でのきちんとした研修を施し、指導力についても申し分ないことをどこかで担保する必要がある。
筆記試験がないと、「公平な評価」ができないのでは?現場教員の主観を信じていいのか?などという疑念も出てきそうだが、筆記試験は制度的には「公平」に見えても、それが図っているものが本当に教員としての資質に深く関わっているかの保証はない。また、能力がある現場教員の判断を信じられないなら、もはや教育自体が成り立たない。
言うまでもないが、部活を社会教育へ移譲、勤務時間の厳正化、学級定員の低減など、教育・職場環境の改善にも全力を尽くさねばならない。でないと、せっかく渡したバトンも、ポイッと投げ捨てられかねない。