2008年から使ってきたEvernoteだが、このところの度重なる「意欲的すぎる」アップデートのせいで、すこぶる使い勝手が悪くなった。それどころか、さっとメモを見ようとしても反応がなく再起ち上げを余儀なくされたり、日本語入力時に変換確定結果が消えて乱れるという、メモソフトとしては致命的な症状も出てきた。何か他の安定して使い勝手のよい移行先を探さねばならないと決意。
移行先候補
これまでMicrosoftからは極力距離を取ってきているので、今更Microsoft Noteなどはまったくの対象外。また、「脱タダ」計画でGmail始めGoogleとも距離を取ろうとしているので、Google Keepも対象外。それ以外で検討したのは次の二つ。
Apple純正メモ
シンプルさと、何かと将来性に不確定な要素があるサードバーティのソフトに比べれば安定感がある。加えて、ここ数年で機能が劇的に向上し、いろいろなことができるようになっている。
EvernoteからEnex形式でデータを吐き出し、それをメモに取り込むことは可能。しかし、ノートブックごとに行う必要があり、データ量によってはそれなりに時間がかかる。
機能面では、あれこれ肥大化したEvernoteに比べて必要最低限を備えてすっきりしているが、強いて言えばウェブブラウザからのクリッピングがURLのみで、実際にコンテンツが取り込まれるわけではないところか。
Notion
Evernoteが迷走を始めた頃、アップルのメモと並んで、移転先として挙げられたていたのがNotion。サンフランシスコのスタートアップが2018〜19年に起ち上げた製品で、最低限の機能は無料で使うことができる。
ノートアプリと言うより、カード型データベースのような仕組みで、かつてアップルが提供していたHyperCardによく似ている。と、自分では勝手に思っているが、あまりHyperCardとの比較は見られないのは、ほとんどの若いユーザがそんな古いものを知らないからか?
いずれにしても、実現したいことを上手くデータベースとして表現できれば、強力なツールになる。
この製品が移転先として魅力的なのは、Evernoteからの移行ツールを提供していること。これを使えば、Evernoteのデータをまるごと簡単に取り込むことができる。
もう一つの魅力は、学生や教職員ならば、通常は月額5ドルの個人向けプロプランが無料で使えること。これにより、毎月のアップロード無制限、30日までの履歴をさかのぼることができるようになる。
ただ、一つだけ気になるのは、一部の熱狂的なファンの盛り上がり方が、Evernoteが出始めた初期の頃と雰囲気が似ていること。どんなアプリケーションも万人にフィットすることは不可能で、進化は裏返すと一部ユーザには退化にも感じられてしまうのは避けられない。それが極端に発現してしまったのが最近のEvernoteのケースかもしれない。
ひとまず…
純正メモアプリのすっきりしたUIも捨てがたいが、Notionの機能も気になるし、何しろEvernoteと共通するところが多いので、移行の負荷が低く済みそうな気がする。
まずはNotionでできることをちょっと研究し、本格的に移行できそうかじっくり考えてみることにする。