イバロにあるイナリ市立図書館を案内していただきました。
最初の建物から数えると160年の歴史がある図書館だそうです。まさに、地域の知を支え続けてきた施設だと言えます。
エントランス部分には、他のフィンランドの図書館同様、ストックやウエイトなどの運動用具や靴などの貸し出しコーナーがあり、ちょうど図書館が処分する書籍の安売りコーナーも設けられていました。
入り口を入ると正面にカウンター、右側には成人のウィング、左側は主に子ども向けのウィング。
子どもウィングには絵本やゲーム、小さなムーミンの椅子や遊具が配置され、カラフルなマットが敷かれてとても楽しい空間になっていました。オレンジ色の物体は、子どもに人気の、犬を形取った椅子のようなオブジェだそうです。
大人ウィングには、いろいろなジャンルの書籍以外に、ビデオや音楽CDのセクション、ピアノが置かれている小さなイベントスペース、電子書籍の貸し出しやデータベース検索ができる端末が設置され、隅の一角には、少人数でこじんまりとミーティングや共同作業ができるようなボックスが設けられ、ちょうど留学生を交えたグループが打合せをしていました。
selkokieliという、簡単なフィンランド語で書かれた書籍を集めたセクションや、外国語のセクションがあり、日本語の教科書もたくさん置かれていました。
いちばんの見ものは、遠隔地を定期的に巡回する図書館バス。ガレージに納められていたバスに案内してくださいました。
車内にはおよそ3000冊の蔵書、後方にはソファーが設置され、ロールダウン式のスクリーンにプロジェクタでビデオなどを映して鑑賞できるようになっていました。入り口は車椅子対応のスロープがついていて、バリアフリー。
おもしろいのは、カウンターには値段が書かれた薬が並べられたガラス棚があり、薬の販売も行われていました。僻地などでは薬局まで行くのも難しい場合もあり、そういう需要に対応するために始められたサービスだそうです。
それほど大きな図書館ではありませんが、7名のスタッフが配置され、蔵書の入れ替えの予算も確保され、稼働率も一人年間25冊(ちょっとうろ覚え)くらいだそうです。図書館バスもイナリに限らず、ほとんどの地区に配備されてます。