初級1と2の期末試験が終わったときにまとめていますが(「基礎フィンランド語2の期末試験」)、今回は初級3の試験について補足しておこうと思います。
初級3では担当者が代わり、フィンランドでは比較的珍しい、学生を矢継ぎ早に指名して文法練習問題をこなしていくタイプの先生になりました。コミュニケーション活動もないわけではありませんが、比重は1,2の授業と比べると少なめ。
それでも、試験に対するアプローチは共通することがありました。何をテストするのか、あらかじめ明示して、それに向けて勉強しやすいように配慮していました。
1,2の授業では、試験数週間前にテスティングポイントが示され、直前にグループでそれに対応した練習課題に取り組むという準備が提供されていました。3の授業では、授業の最初の時点から、期末試験のサンプルと解答が示され、何がどのようにテストされるのかが、授業全体の評価基準と共に説明されました。
試験直前には、別のサンプル問題が配付され、それを最終授業で一緒に解いて必要に応じて補足説明をしてくれていました。
本番の試験問題も二つのサンプルも、具体的な問題は異なりますが、テスティングポイントと構成はほぼ同じでした。大問ごとに何をチェックしているのかがとても明確になっていて、学生も準備をする中で学習しやすくなって言います。また、大問構成がしっかりしているので、3つのバージョンを用意しやすくなっているのでしょう。
具体的には次のような構成でした:
- 語形変化(与えられた語の諸変化形を答える)
- 叙述部の語形(主語に応じて叙述部を正しく直す)
- 受け身表現(書き換え)
- 法助動詞(書き換え)
- 所有接尾辞(書き換え)
- 仮定法(書き換え)
- 複数表現(書き換え)
- 語彙知識(絵を見て答える)
- 動詞の名詞句化(絵を見て文を書く)
- 関係代名詞(二文結合)
- 読解(まとまった文章を読んで10の正誤を答える)
- エッセイ(二つのテーマから一つ選び、10文以上書く)
与えられた時間は2時間。私ですら30分残して退室したので、充分な時間が与えられていました。読解問題では、文章には穴も空いておらず、下線などもついていないので、素直に通読できました。
本番の試験に加えて、1,2の授業でも同様ですが、結果に納得がいかない場合は、同様の試験で2週間後に再受験する機会が用意されています。再受験しても不利にはならないよう、いずれかよい方の結果が採用されます。それを含めると、最低4つのバージョンは授業が始まる前に用意されているということになります。
日本の学校で行われる定期テストなどでは、大問ごとのテーマが定まっていないことが多く、一つの大問の中に、形式こそ穴埋めや択一式で統一されているものの、小問ごとのポイントはバラバラだったりします。例えば、空所補充形式の大問の中に、動詞、前置詞、不定詞、などなどが混在していて、その大問ができなかったということは、何を意味するのかが、受験者に伝わりにくい作りになっています。
授業の達成度を測るテストでは、大問のテーマを統一してある程度内容が透けて見えることになってしまったとしても、結果から得られるフィードバックの明確さを考えると、学習者にも、教える側にも得られる情報がクリアになると言えます。