ロバニエミ最後の夜は、待望のオーロラツアー。結果は、画像の通り、大満足。カメラの長時間露出ではなく、肉眼でもはっきりとうねる光を見ることができました。
よく言われるオーロラツアー成功の条件は、先ず何より天空での電磁波の活動。次に空が見える好天と暗さ。そして3つめが運。
今回お願いしたツアーでは、その「運」を運任せにせず、まさにオーロラハンターとしての熱意と勘、各種データに基づいた判断で最善の判断と案内をしてくれたガイドさんのおかげで、素晴らしいオーロラを堪能することができました。
ツアー事前調査
フィンランドの天候は変わりやすいので、あまり早く予約していても曇天や雪でどうにもならなかったりするので、可能なら現地入りする直前まで様子を見た方がいいというアドバイスをもとに、ロバニエミの天気予報を睨みながら、あれこれツアーを調査。
ハスキーソリやスノーモービルと組み合わせたオーロラツアーは、おざなりのことが多いらしいです。また、オーロラはスマホやコンデジではまともに写らない(どころか、今回一応持って行ったコンデジでもまったくダメ)ので、オーロラに対応した機材持参とか、写真撮影が趣味でもない限り、プロのカメラマンが撮影してくれるツアーが必須だと思いました。
そういう条件で選んでいくと、だいたい100€程度、少人数限定なら150€は覚悟する必要があるという結果。
そんなとき目にとまったのが、ものすごくこだわりと情熱を感じた、個人営業のツアー(Aurora Hunting Tours)。
他の商業ツアー同様、ホテルへの送迎、防寒着レンタル、温かい飲み物やスナックサービス、撮影した画像映像のデータ提供、少人数催行という条件で、ひとり200€(約2万4千円)。希望すれば機材の貸し出しや、持ち込み機材を使った撮影の指南もしてくれます。
ただし、料金は後払いで、オーロラを見られなかったときにはお代は結構という、お客様の満足度最優先。実際、今回は大満足のオーロラ出現ながらも、会計時には「定額でもいくらでも、お客さんが納得いく料金で」という謙虚な姿勢。
ガイドのAlexさんに滞在期間と人数を伝え、状況を確認。1日と2日は既に予約が入っていて、2日は何とか4名の合流は可能とのこと。引き続き連絡を取り合うことに(もちろん、フィンランド語ではなく、英語で)。
天候見ながら予約
出発前の予報は、ロバニエミに滞在する1〜3日前日とも曇り。気温は驚くほど高い零下5〜10度程度。出発直前の5日間予報でも、最初の二日は恐らく絶望的。
初日の午前にサンタクロース村でサンタさんと記念撮影をしたあと、その日は郊外の湖畔サウナで、薪のサウナを楽しみながら、あわよくばオーロラも観るツアーに申し込み。ガイドさんには、最終日の3日夜で参加の意向を伝え、状況の連絡を取り合うことに。
引き続き天気予報を睨んでいると、二日目夜は少し雲の切れ間も覗きそうな予報。しかしあまり望みは高くなさそうなので、二日目の昼間はアイスフィッシングのツアーに申し込みました。一応、事態が急転して2日に合流ということになっても対応できるよう、夜は開けておき、市内で評判のサーモンワッフルを供するカフェで軽食、川沿いを歩いてArktikum博物館を見学してきました。
出発見合わせや中止もあり得る
その夜のツアーの状況を尋ねると、夕方6時頃に出発予定とのこと。しかし、その2時間後くらいに、ツアー中断の連絡。恐らく、わずかでも可能性のある場所とタイミングを求めて最大限の努力をした結果、そのような苦渋の判断となったのだと思います。
Alexさんのツアーは、観られなければ料金を請求しない代わりに、彼が判断してまったく望みがない場合にはそもそもツアーには出発しませんし、わずかな望みに賭けて出発してからも、状況を判断して、それ以上追い求めても無駄だと判断すれば中止となります(もちろん、参加者の判断も尋ねられますし、尊重されます)。
その後の予報は、3日の夜7時過ぎから雲が少なくなり、真夜中から明け方にかけて晴れあがるとの予報に変化。3日の昼頃に、Alexさんから夜8時頃の予定で決行するという連絡が入りました。ちょっと距離が短くて不完全燃焼気味だったハスキーファームのツアーから戻り、夜までホテルで体力温存の待機。
ツアー出発
Alexさんがホテルまで事前に伝えて置いたサイズの防寒着やブーツを届けてくれて、部屋で着替えて車に乗り込み出発。我々の他に、フランスから来たご夫婦も同行。
ロバニエミ地方は曇り空ながら、所々に雲のないところがある状態。電磁波の活動も悪くはない様子。市街を抜けたあたりから、天気予報や各地のウェブカメラ、電磁波の動きなどを見せてくれながら、その日の「戦略」を説明してくれました。
通常なら北に向かうところ、当日の雲の動きと切れ目を考慮すると、むしろ南に下って雲の切れ目を追いかけ、そこからオーロラが見える北の空の視界が確保される場所を探していくという作戦。
決断

オーロラが上がってくる地平線近くに雲がたくさん
途中、パーキングエリアなどで車を止め、空を観察・撮影して記録にとどめながら、市内から60キロ以上離れた最初の目標地点の湖に到着。
長時間露出のカメラでわずかにオーロラの活動が捉えられるものの、「見えた」と言えるレベルには至らず。他にも数カ所考えられるスポットに行ってみたものの、どんどん雲が厚くなり、Alexさんから二つのオプションが提示されました。
一つは、ツアーを中止して市内に戻るオプション。もちろん、料金は発生しないとのこと。もう一つは、雲が晴れると予想される夜中過ぎまでに市の北側に向かい、そこでさらにオーロラの出現を待つというオプション。相当遅くなってからでも観られる可能性があるので、Alexさんの取るであろう行動は後者のオプションだと言うことも申し添えられました。参加者全員、さらに追いかける決心で一致。
市街から北上
いったん市街に戻り、そこからさらに北に向かって車を走らせました。30分ほど走ったところのパーキングエリアに車を止め、雪道を歩いて行くと公共の焚き火施設がありました。かまどがあり、屋根もついています。フィンランドではこういう施設があちこちにあり、国立公園内には宿泊もできる無料の小屋も用意されていて、誰でも自由に使えるようになっています。
Alexさんは手際よく火を起こしてから、氷の様子と安全を確認しに、少し先の川まで行って戻ってきました。参加者に暖かいお茶とトナカイ肉のサンドイッチを配ってくれて、状況の説明をしてくれました。
川はしっかり凍っていて、充分に厚い氷の上に少し水の層があり、その上にさらに雪が積もった状態で、歩くと足跡に水分が上がってくるけれども、川ではよくある状態らしい。念のため、一カ所に加重がかからないように、各自近づき過ぎず間隔を取るように指示があったのが、ちょっと怖かったです。
オーロラ出現、撮影開始
くるぶしよりずっと上まで積もった雪の中を進んでいき、凍った川の上に出ると、北側が広く開けた状態になりました。そこでカメラを据え、オーロラを待ちます。
予想通り、雲はかなり少なくなり、月がくっきり見えていました。天空には、見たこともないようなおびただしい数の星。天の川もはっきりと見えました。その星空だけでも満足を覚えてしまいます。ちょうど流星群が近づいていたようで、たくさんの流れ星が流れていました。
少しすると、雲がなくなった北の空の地平線から、アーチ状の緑の光がうっすらと上がってきました。カメラの長時間露出だとかなりはっきりと見えます。それからどんどん光が強くなり、うねりも確認できるようになりました。
Alexさんは参加者にランタンを持たせ、オーロラをバックにしていろいろなポーズで写真やビデオを撮影してくれました。同行していたフランス人の旦那さんは自ら三脚カメラを持参していて、Alexさんが撮影の指南をしていました。
超満足して無事終了
Northern Lightsは1時間近く続きました。動きがなくなり、光が弱くなったところで撤収、休憩小屋に戻り、お茶で温まってから帰途に就きました。オーロラを求めて移動中は疲れ切って眠りにおちていた奥さんと娘も、帰りは興奮して寝るどころではなかったようで、ずっと起きていました。
ホテル到着は午前2時を過ぎていました。過去には、明け方までお客さんと一緒にオーロラを追い続けて、そのまま朝のフライトにお客さんを空港まで送って行ったこともあるとか。まさに、単なる観光ツアーとは一線を画した、本気のオーロラハンティングです。
ホテルの部屋で着替え、ホテル前で待っているAlexさんにレンタル用具を返却。会計は、フィンランドらしくしっかりカードに対応。iPadに接続して使う読み取り端末で、iPhoneでの支払いも可能でした。撮影してくれた画像・動画データは、翌日にはダウンロードのリンクが送られてきました。
明け方2時過ぎなのにみんな満足の笑み
おまけ
飛行機からも見えるんですか?と質問したところ、しっかり見えますよ、とのことだったので、家族も帰りの機内でちょっと期待していたようです。
すると、機長からオーロラが見えるとアナウンスがあり、機内騒然。くっきりと北の空に輝くオーロラが見えたそうです。iPhoneでもしっかり写るくらい強力な光だったらしいです。