まあ、世の中にはいろんな人がいるので、まあ、おもしろいわけです。
夕方からコンサートがあるというので、先日見たパイプオルガンの音色を聞きたくて大聖堂へ。曲目はリストとバッハ。当然、時節柄華やかで楽しい曲目ではなく、キリストの処刑と復活にまつわる、どっぷり重い曲。
大聖堂に向かう途中、酔っぱらいの若いカップルを歩いて追い越したら、後ろから粋がった兄ちゃんの明らかに中国人と間違えてからかう声。振り返って成敗してやろうと0.2秒考えましたが、「日本人研究者、在外研究期間11ヶ月残して強制送還」という見出しが躍るのは困るので思いとどまり、無視して足早に立ち去りました。どこにでもこういうアホはいるもんです。
大聖堂に着くと、こちらとしては結構な(普通に言えばほとんどないに等しい)行列。列の最後尾につくと、そこからは結構急な階段。前にいたおばあちゃん、手すりにつかまりながら結構難儀そうに階段を上がっていたので近づくと、何かフィンランド語で話しかけてきて、わからないながら”apua”だけ聞き取れたので、手を差し出すとにっこりと手を乗せてきて、一緒に階段上まで。上がりきると”Kiitos.”と来たので、すかさず”Ole hyvä.”と。それ以外の発言はわかりませんでしたが、普通にフィンランド語で話しかけられたのが妙にうれしく感じました。
事前情報では入場料無料とあったけど、受付では皆さんプログラムを買い求めて行くので、自分だけ素通りで入るのも気が引けて(意外と小心)、前の人の流れに乗って20€差し出すと、5€しか戻ってきませんでした。ま、いいか。
既に前方は満席で、辛うじて空いていた柱が邪魔にならない後方の席に目指して、とりあえず知ってる限りのフレーズを動員して”Anteeksi. Kiitos.”と言いながら通してもらい、着席。
15€と引き換えにゲットしたプログラムには、曲目やら演奏者の紹介やらが、さっぱりわからないフィンランド語で書いてありました。冊子後半には、ドイツ語の歌詞とフィンランド語の対訳が出ていて、まったくやったことがないドイツ語と、対訳のフィンランド語を交互に見ながら聞くことができ、そのおかげで眠りに落ちずに済みました。でもピタッと両方わかったのは、Gute NachtとHyvää yötäの部分だけ。やれやれ。
重い曲目聞いた後で街に飲みに繰り出す気にもならず、アパート近くのK-Marketで夕飯の買い物して帰宅することに。他の多くの店が早めに閉まっているせいか、いつもより混雑してました。
レジ待ち列の最後につこうとしたところ、フライトジャケットにサングラスという粋な着こなしで彼女連れの20代後半〜30代前半くらいの青年がほぼ同時に列につこうとして目が合いました。
すると、私を見るなり、”After you, sir.”と。sirと言われちゃったし、”Go ahead.”じゃなく、”After you.”だし。”No, you queued first.”というと、青年ったらさらに洒落てて、”I’m younger than you are. Please.”と。
もしかすると、兵役経験があって鍛えられたのかもしれないけど、こういうことを外国語である英語でサラッと言えるというのは、すごい国です。果たして五十八番国のコンビニでも同じことが起こるでしょうか。