フィンランドでは4月14日に議会選挙が予定されていて、市内でもその選挙活動が行われています。
しかし、日本とはかなり様子が異なります。候補者のポスターは、日本のようにこれ見よがしに顔と名前を売り込もうとするえげつないポスターはなく、政党ごとにまとめられ、候補者の小さな写真と名前の横には、候補者の背番号が添えられています。
街のあちこちには、応援する候補者のチラシを配る人々が立っていますが、日本のようにお仕着せがましくありません。あくまでもらう人が手を伸ばせばチラシを渡すという感じです。一つもらってみましたが、フィンランド語でさっぱりわかりませんでした。
市内中心部の広場を通ったところ、候補者ごとにブースを出し、チラシを配ったり、質問に来た有権者と意見交換などしているようでした。単に目立つからとか、顔や名前を見たことあるとか、知り合いだからなどということではなく、きちんと争点を踏まえた投票なのでしょう。
日本と最も異なる点は、誰ひとり、マイクなど使っていないこと。もちろん、けたたましい選挙カーなどまったく走り回っていません。
ちょうど市の教育担当の方と面談があったので、マイクを使っていないことについて尋ねてみたところ、誰ひとり使わないので法律で禁じられているのかどうかはわからないが、そもそも人に向かってラウドスピーカーでがなり立てるなんて失礼だ、まるで有権者を動物か何かと見なしているようなものだ、という答えが返ってきました。
日本で大音響でがなり立てる候補者に苦言を呈しに行ったり、深夜に駅の改札で立っていることがいかに政治にとって不利益か抗議したりして「浮いている」自分は間違っていなかったと、異国の地で再確認できました。
続報1
この記事を書いてから数日後、このことについて話をした方が覚えていてくれて、これまであまり意識していなかったが、今回の選挙でひとりだけ街頭でメガホンを使っていた候補がいたと報告してくれました。とても奇異な光景だったのでよく覚えていたとのこと。「もしかすると、日本で選挙の仕方を勉強してきたのでは?」と冗談飛ばしておきました。
続報2
このブログを見ている教え子のひとりが、日本でも静かな選挙を目指して活動している団体があると、ポスターとともに紹介してくれました。なるほど、うるさくて迷惑、まともな政策論議につながらないという以上に、税金が使われているんですね。
続報3
フィンランド総選挙の結果については何か書ける立場でもないし、状況はよくわからないというのが正直なところですが、二つの数字に驚かされます(「総選挙で与党第1党が大敗、政権交代へ」より。青字は日本の数字)。
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投票率72%(2017年衆議院選挙の投票率:53.68%)
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当選議員の85%が女性(2018年報告で10.2%)