何よりもまず音質は、さすがBluetoothのA2DPコーデックに対応しているだけあって、従来のBluetoothイヤホンとは比べものにならないくらい良い。見た目には、Apple製の耳からイカ刺しイヤホンに比べて若干ごっつい感じはするが、装着してみると見た目よりずっと軽快で、外れそうな感じはしない。シャンパンゴールドだと、肌の色に馴染んで、Apple製のイカ刺しほど目立つこともない。何しろ、コンパクトで携帯性がいいし、これなら暑い時期にも使用することができる。
装着中に落としてしまうことはなさそうだが、しいて言えば、屋外で外して専用のケースに収めるとき、うっかり落としてドブに転がっていっちゃう、という悲劇は想定できる。
ケーブルレスなので、服とケーブルがこすれる、いわゆるケーブルノイズからは解放される。何しろ、ケーブルにつながれていないのはスッキリ気持ちがいい。しかし、歩行時に靴底の振動が伝わって聞こえてくるという別のノイズがつきまとう。これは、オーバーイヤータイプのWH-1000XM2では発生しないので、耳の穴を密閉していることに由来するものと考えられる。
バッテリーの持ちは、公称値では連続音声再生時間が3時間。専用ケースはバッテリーを兼ねており、ケースに収めると自動的に充電されるが、2回分程度の充電しかすることができない。充電するタイミングがちょっとむずかしいかもしれない。
使用開始の際、装着手順にちょっとしたコツがあることがわかった。
左右のイヤホンはBluetoothで通信を行う。左のピースには電源ボタンがついており、メインのピースとして機器との通信を行っている。右側のピースは、左側ピースによって通信制御されている。ケースからイヤホンを取り出すと自動的に電源がオンになり、左右のピースで通信が確立されることになっている。しかし、ケースから出してすぐに耳に装着すると、人の頭が間に入って絶縁体として作用してしまい、左右の通信が確立できず、左側しか音が出なかったり、右側の音が極端に小さくなったりする。
これを避けるには、ケースから出したら左右のピースを手に持ち、少し間を置いてから装着すると、左右の通信が阻害されない。もし阻害されてしまった場合は、右側のボタンを長押しして離すと、左ピースでバッテリーレベルのフィードバックが聞こえ、その後正常に戻る。
イヤホン自体がかなり小型なので、装着中の操作はWH-1000XM2と比べてやりやすいとはいえないが、ボタンを押すことによって外れてしまうということはない。再生中の音楽を止めるには右ボタンをクリックする。ダブルクリックすると次の曲、トリプルクリックで前の曲に戻ることができる。左側のボタンは、押すごとにアビエントサウンドモード(周囲の音も聞こえる)、オフ、ノイズキャンセリングのモードが入れ替わる。長押しするとデンげをオフにできる。右側のイヤホンも同時にオフになる。
マニュアルをよく読まないと勘違いしがちだが、いったん電源をオフにしたものを、ケースに収めずに再度オンにするには、両方のボタンを同時に長押しする必要がある。
WH-1000XM2では、右のヘッドセットを手で覆うと一時的に外部の音声を聞くことができ、コンビニのレジなどで便利だが、そういうジェスチャーは提供されていない。また、音量の操作もイヤホンからはできないのが面倒である。