EBPocketは、往年のJammingが撤退して以来、ずっとお世話になっているEPWING対応の辞書検索ソフトです。広告が出るフリー版と、広告フリーの製品版があります。
Mac版では適当な場所に保存した辞書データを参照できたのですが、iPhoneになってからは、脱獄(Appleの制約を外し、端末の内部データの操作を可能にする手続き)をしなければ、ストレージをユーザが操作することができなくなりました。そこでEBPocket for iPhoneが考えだしたのが、アプリがftpサーバを起動し、そこに向けてユーザが所有している辞書データを転送するという方法。これによって、直接ファイルの書き込みができなくても、辞書データを端末に送り込むことができました。
Androidであれば、EBPocketアプリをインストールすれば、EPWING形式をはじめとしていろいろな形式の辞書データを検索できるようになります。ただし、AndroidアプリをエミュレートしているChromeOSでは、ちょっとやっかいなことがあります。
現時点では、SDカードの領域へのアクセスがかなり限定されているということです。データを転送することはサードパーティ製のファイル管理ソフトを使えばなんとか可能ですが、エミュレートされたアプリからSDカードにアクセスすることが叶わないので、不都合が生じます。結論としては、2018年1月の時点では、残念ながらSDカードに辞書データを置いて利用することはできません。
以下、一応いろいろ試みた足跡は記録しておきます。
まずは内部ストレージに辞書を置いておく方法です。アプリの設定の中に、「辞書をダウンロード」という項目があり、動作確認用にEDictの辞書データをダウンロードできる機能があります。これを実行すると、ネットワークに公開されている辞書データをダウンロードし、内部ストレージに保存してくれます。
これで/storage/emulate/0/EDictというフォルダが作成され、そこに辞書データが保存されます。このフォルダをEBPocketに名称変更すれば、アプリが起動すると自動で辞書データを検索してくれるようになります。サードパーティ製のファイル管理アプリを使って、このフォルダの中にEPWING形式の辞書データを放り込み、アプリを起動すると辞書を認識してくれます。
これで一応は辞書が検索できるようになりますが、辞書データは容量がかさむため、非常に限られたChromebookの内部ストレージが2GBも圧迫されてしまいます。そこで、せっかくmicroSDスロットが搭載されているので、辞書データをSDカードに置けないか模索してみることにしました。
SDカードに辞書データをコピーするのは、ファイル管理ソフトを使えば問題なくできます。しかし、EBPocket側から辞書データの場所を設定する画面で、肝心のSDカードが認識されません。
いろいろ調べてみると、初期設定が収められたファイルが内部ストレージに保存されていることがわかりました。このファイルはテキストファイルで、辞書データが収められたディレクトリのパスも保存されていました。アプリでは指定できなかったSDカードへのパス(/media/removable/UNTITLED/EBPocket/)を、直接この初期設定ファイルを開いて書き込みました。
最初は認識されていない様子でしたが、アプリでキャッシュをクリアしてみると、アプリでは指定できなかったSDカード上のディレクトリも認識されるようになりました。ただし、認識されはしましたが、そのディレクトリへのアクセスは制限されているようです。
今後、ChromeOSの仕様が変更になり、エミュレートされているアプリからもSDカードへアクセスが解放されれば、辞書データをSDカード上に置くこともできるようになるかもしれません。
【追記】(2018.7.16)
ASUS C101Pの後継機、C302CAを購入。Googleのアカウント情報を入れてインターネットに接続するだけで基本的なセットアップは完了するが、辞書検索アプリEBPocketの辞書データは自動では継承されない。
そこで今回改めてminiSDカードに納めた辞書データにアクセス可能か調べてみたが、やはりアプリからのアクセスは不可。GooglePlayの設定でアプリに権限を与えてもダメ。
仕方ないので、従前と同様に本体のストレージに入れようとするも、ファイル管理ソフトではルート上のEBPocketフォルダにデータを転送できない。きっと最新版のファイル管理アプリなら行けるのかもしれないが、大して使わないアプリ探しに時間をかけるのも馬鹿らしい。
そこで、アクセス可能な「ダウンロード」フォルダ内に辞書データを配置し、そこにアクセスするように設定し直し。無事辞書検索も復旧。