「教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて」報告書に関して感じたこと

ユーシキシャ会議が近々発表する報告書の内容が報じられていたので、それについて考えたことを挙げておきます。

いずれ報告書は正式に文科のHPで講評されるでしょうけど、それまでの参考と、記録のために、最後に記事本文を引用しておきます。

で、以下が報じられた報告書内容の案について感じたこと。

  1. 相変わらずPDCA言ってますが、そういう短期的な結果が出ることばかりではないのが教育。そこいらの企業的感覚ばかり持ち込んでも、哲学がなけりゃだめ。
     
  2. 教員養成の専門性を高める対策は大賛成だけど、現政権のきな臭い目論見の中でこれを進めることには「重大かつ深刻な」懸念を感じる。
     
  3. 現実的にはかつての師範学校の流れをくむ学部だけでは教員養成を一元的に担うのは無理。既存の教員養成学部のうち、大学院まで一貫した受け入れ体制が整っているところも残すのが賢明。
     
  4. 優秀な学生の教員志望を伸ばしたいなら、採用プロセスを抜本的に見直さなきゃ。卒業ギリギリまで本当に採用が来るかどうかわからない状況があったり、何年も臨採のまま使い倒したりすることをなくさなきゃ、いい人材は集まらない。
     
  5. 教職大学院で、現場に即した実践的な教科領域教育の指導ができるに足る人材確保しているの?
     
  6. 大学院と現職教員の研修を連携させるのは大賛成。ただし、非常勤の確保など研修に出やすいような体制作りと、費用面の手厚い支援が必須。また、上の問題と同様、大学院で実践的な教育を受け終える指導体制の確保が課題。
     
  7. 「教員養成の実践性を重視した学位「Ed.D.」の必要性」って、まあ学位として形になるのはいいことだけど、そもそも博士号にそういう実践を重視したものを期待するのに無理はない?

記事の引用(https://www.kyobun.co.jp/news/20170829_06/)

教員養成を特定大学に集約 有識者会議が報告書了承

2017年8月29日

文科省の国立教員養成大学・学部、大学院、附属学校の改革に関する有識者会議は8月29日、第11回会合を省内で開いた。委員間で報告書「教員需要の減少期における教員養成・研修機能の強化に向けて」の案の最終確認を行い、内容を了承した。

同報告書は、予算や人材、機能強化では、各地の教員需要の推移に基づく入学定員の見直し、近隣の大学間で一部の教科の教員養成機能を特定大学に集約したり、共同教育課程を設けたりするための設置連携や協力を行う点などを記した。

また、教員養成機能の強化として、着実な課題改善へのPDCAサイクルによる目標設定や検証などの実現、教職大学院での学校現場に即した実践的な教科領域教育の導入などを掲げた。

さらに今後、教員需要の減少期を迎える一方で、教員はより高度な専門性が求められる状況を指摘。教員養成の中心的役割を果たす国立教員養成大学や学部などが、限られた資源の中で、エビデンスに基づく教員養成機能を着実に高め、学校教育全体の質の向上をリードするとの目標を示す。

教員養成機能の強化では、確実なPDCAサイクルの実現、協議会参画による教委などとの地域連携などを挙げる。協働を通じて教員のライフステージに応じた体系的な資質向上策などに関わり、地域ニーズに基づく教員養成カリキュラムの改善などにも携わる点もうたう。

また、学生の教員就職率の向上を視野に、実践と学問探究の両面に尽力する大学教員の比率を高めることや、「教員養成学」に相当した学問分野の発展なども提言している。

教職大学院での学校現場に即した実践的な教科領域教育の導入や、現職教員に向けた同大学院での教育と研修機能の強化も示した。

委員は、これまでの議論を振り返り、▽検討にあたり詳細なデータに基づく課題出しができたのは良かった▽教員養成の実践性を重視した学位「Ed.D.」の必要性▽「教員養成学」への大学や教職大学院関係者間の議論の必要性――など、感想や意見を述べた。

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