渋谷の連れ込み宿(死語)街のど真ん中にあり、渋い作品を上映するユーロスペースで、「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」を観てきました。
予告編
会場はほぼ満席、でも私が若者に見えるくらい、周りの観客は総じて高齢。もっと多くの若い人が観ればいいのに(って、平日の昼間じゃ、普通の人は無理か)。
なんと言ってもいちばん印象に残ったのは、あれほど血と涙にまみれた戦いの中でも絶やさない、亀次郎さんのなんとも言えぬ愛嬌のある笑顔。人間性と優しさが溢れ出てる笑顔で、同じく民衆に親しまれた指導者だったホーチミンを連想しました。
その一方で、とにかく「不屈」。米軍配下の不当な投獄で二年近くも独房に入れられていてもまったくひるまない。むしろ、それによって人々の信頼もますます厚くなり、出所して来たときは大勢の市民に大歓迎された。そのときの笑顔もとても印象的。
この「不屈」という言葉は、亀次郎さんの標語とされているが、実はご本人は、沖縄民衆による決して諦めない戦いの様子を言い表した言葉として使っていたようです。でも、彼を慕う民衆たちにとっては、亀次郎さんの不屈の精神を賞賛する言葉だったとか。
とことん不屈なのに、堅苦しさや偏屈さはまったく感じず、むしろしなやかな粘り強さを感じました。亀次郎さん自身も、その粘り強さと不屈の精神を、沖縄の樹木ガジュマルにたとえていたようです。
米軍に買い込まれた議員の工作によって那覇市長の座を追われることになったときも、裏切った議員たちもガジュマルの木陰でしばらく休み、またともに沖縄のために戦っていけばよい、と心広く受け止めたそうです。
県民の民意を裏切ったあの仲井真知事の父親も、米軍に基地反対住民の情報を売り渡す工作員だったとは知らなかったです。親子で裏切り者とは。
ドキュメンタリー最後の、国会議員として国会で佐藤首相と論戦する場面は圧巻。