上野に用あり、ちょっと腹を満たしてからと、駅構内の立ち食い寿司に立ち寄り、とんでもなく嫌な目に。
そこは、注文するときにはネタ名が書いてある小さな竹の短冊をカウンターの器に乗せ、板さんに注文するシステム。板さんは、握って出し終えた短冊を席番号の札がついた入れ物に入れていく。
問題のボケ板は、番号札に腕を引っかけて、私の短冊を隣の客の前にばらまいた。「ったく、いっつも引っかけちゃうんだよなぁ、もう」とブツブツいうボケ板に、隣の客は親切にカウンター上の短冊を集めてボケ板に渡してやった。
どうもそのとき、これから注文しようとカウンター上に置いていた隣客の短冊も一緒に私の入れ物に放り込まれたような気がした。案の定、隣の兄ちゃんは、注文しようと置いてあった札がないと、連れ合いと言い合ってる。
嫌な予感がしたので、念のため自分の注文の計算をしておいた上で、会計を依頼。やはりちょっと高い。でも会計を担当したおばちゃんは鋭かった。私の表情の変化を見逃さず、「合ってませんよね?」と確認してきた。会計の短冊を出してくれというと、やはり、食ってもいないつぶ貝の短冊が混じっている。
それを指差して、「これ、食ってないよ」と言った瞬間、ボケ板のひと言に耳を疑った。
「うっそだぁ〜!」
そのひと言で、完全な臨戦態勢に切り替わった。ボケ板をきっと睨みつけ、「おい、それが客に対する言葉か?そもそも、おまえのそれほどの自信はどこから出てくる?おまえはさっき、手もとの短冊をばらまいて、客に拾ってもらったろ!そのときに短冊が紛れ込んだとは考えなかったのか!言い分があるなら言ってみろっ!!」
それを聞いて、「店長出して」砲を発射するまでもなく、店長がすっ飛んできた。それを相手にせず、「店長とじっくりお話がしたいので、店の外で待っててもらってください」と言いながら会計を済ませた(ちゃんと満額支払いましたよ)。
店の前でただ平謝りする店長に、「頭下げる前に、どういうことが起こったのか、説明してみてください」と静かに言うと、哀れな店長、何も把握していない。「そんな状態でただ頭下げて、客の立腹が収まると思いますか?」という指摘にも平謝り。為す術なし。
あなたに頭下げてもらっても仕方ないから、あの板前を呼んできてくれ、というも、「店長のお詫びではダメですか?」とペコペコ。それ以上、やっても仕方ないので、「せっかく味がいいのでこれまで何度か使わせてもらったけど、ああいうとんでもない板前がいるんじゃ、今後はもう来たくない。さっさと首にしておいてくれ」とだけ言ってその場を後にしました。
たった一人のボケ板のせいで、残念な店だ。