今年度の赤鬼青鬼二人がかりの教育実習キャラバンでは最遠となる、福島県に参観に行ってきました。
最寄りのJR駅から、バスに30分ちょっと揺られてのどかな山間の中学校。校長先生にご挨拶すると、遠方まで、しかも二人も、わざわざご苦労様です、と。なんでも、大学の教員によっては、来ても授業も見ずに挨拶だけして帰る人も多いのだとか。びっくり。
少人数で、子どもたちもそれなりに声が出ているクラスだったのに、変にゲーム性を取り入れた活動で時間を浪費、さらに日本語による説明が多過ぎ、それで生徒が英語を口にする機会がなくなり、何とも残念な展開。授業後には、指導教諭の先生も同席して検討会。赤鬼青鬼青鬼それぞれからみっちり指導。
赤鬼は早速ブログに厳しい批評を掲載。そこで指摘されている内容についてはまったくもって同意するも、片方が鞭打ち役についたら、もう一方は慰め役を演じるというのは、現場指導の基本(w。ここで私まで鬼になって追い詰めちゃうとまさに拷問なので、鬼のお面を脱いで慰め役に。
実習校の指導教諭の配慮で、来週に同じ内容の授業を担当させてもらえることになったと聞いて、私が検討会で提案した生徒発表用のお助けスライドを実習生に差し入れ。ええ、ええ、過保護ですよね。でも、使うかどうかは実習生次第ですし、あくまで参考資料としての提供ですから。
教科書などの図版も使っているので、公開するには著作権上の問題がありそうなのでスライド自体はここにはアップしません。代わりに、どんな内容のスライドか説明しておきます。1枚目には生徒のイラストと、nameとだけ書かれた吹き出し。2枚目はlikeとstudyの吹き出しがついた生徒のイラストの下に、主要な教科のイラストにつづりが添えられた図、3枚目には真ん中にlikeとplayという吹き出しがあり、左右には楽器を弾く生徒と、サッカーをする生徒のイラストがあり、それぞれの下に楽器とスポーツのイラストとつづりが配置されたスライドになっています。
もし私がこれを使って授業をするなら、こんな風にするかなぁ〜という、単なる個人的な妄想を書いてみます。挨拶とか復習とかは含んでいません。
- 教師自身が英語で自己紹介
- 新出語の意味を確認しつつ発音練習した後、つづりを見せる:name, like, study, play, every
- 基本となる文をパタンプラクティス&発音練習:I like English. I study it every day. / I like music too. I play the guitar every morning.
- 科目名、楽器名、スポーツの名称を、絵を示しながら口頭練習
- What subject/sport do you like/play? / What musical instrument do you play?をキューとして自己表現の文を練習
- お助けスライドを提示しながら自己紹介のお手本を示す
- 個人練習・机間指導
- 発表
- まとめ
1では、スライドは使わず、生徒とアイコンタクトを取りながらジェスチャーを織り交ぜて、ゆっくり演じる。生徒の反応を見ながら、繰り返しが必要かどうか判断しながら演じることが必要だ。
2では、音素レベルもきちっと指導して、自信を持って言えるようにしてから、ゆっくり発音しながら黒板に語を書き、つづりと音がどう結びついているか示す。
3は、ダラダラやらずに、基本文の理解を確認した後、スピーディーに行う。いろいろな音読のさせ方は、既に現地で赤鬼さんから実技指導があった通り。
4は、すべてを覚えさせる必要はなく、自分に当てはまるものはしっかり覚えておくように意識させる。そのほかは、仲間が言っていることがわかる程度で充分で、書くことまで求める必要もない。
5は、一般動詞の疑問文は未習だが、教師がキューとしてこれらの質問を言うだけであるし、わからなければ「What subject do you like? なんの教科?」と言添えればいい。肝心なのは、生徒が自分についての文を言うことなので、次々に質問していく。余力があれば、このとき、”
Oh, you like social studies! Me too!”
のような反応をしてやれると理想的。私なら、三単現は未習でもかまわず”
Tanaka kun likes social studies too!”みたいなことを聞かせちゃうかな。
6では、これから全員に英語で自己紹介をしてもらうことを宣言して、自己紹介のモデルをもう一度見せる。このときには、生徒発表用のお助けスライドを提示しながら行うと生徒も自分たちの発表活動をイメージしやすいかもしれない。
7では、個人でそれぞれ練習する時間を与え、教室を回りながら必要に応じてアドバイスや指導を行う。このとき、話す内容は書かせない方がよい。書かせれば生徒も読みたくなってしまう危険が高まるし、書いたものがあると頭で英文を組み立てようとしなくなってしまう。ここでは、「英語と数学が好き」という場合は?とか、「毎週月木に」はどう言えばいいか?など、生徒からいろいろな質問が出ることを想定して対応しておく必要がある。また、スポーツで挙げた中には、playを使わないswimming, running, judoなども含まれているので、そういう表現をしたい生徒へアドバイスやしてやる必要もある。
8では、時間が許す限り多くの生徒に発表してもらう。生徒はスライドを背にして立ち、教師は発表の流れに合わせて、適宜お助けスライドをめくってやる。生徒には、困ったら振り返ってスライドを見てもよいと指示しておく。何でもかんでも”Good!と言わず、よくできた点とともに、どこを直せばさらによくなるかも指導してやることが大事。発音についての改善点があれば、それを指摘して指導した後、全体に対してもフィードバックするとよい。
まとめのために最低でも5分以上確保し、発表した自己紹介を準備した用紙に書かせる。この時期なら4線の用紙が必要だろうし、書くことの基本的な指導も必要なので、回収して確認するのがよい。もしそこまでの時間が確保できなかったら、最後にもう一度パートナーに自己紹介させるか、3で扱った基本文をコーラスで練習して締めくくってもよい。
さて、惨憺たる「ビフォー」の授業に対して、劇的アフターとなるかどうか。楽しみにしています。