都内の私立高校で、一年生を対象に英語の出前授業をしてきました。生徒のコメントには、「何よりも、とても楽しかった」と書いてもらえましたが、私自身とても楽しい授業でした。
授業のタイトルは、「洋楽で英語の発音を磨こう」。出前授業はいつもこのタイトルで、扱う歌や練習方法などを変えながらやっています。進路指導の一環として行われることが多く、時間もたっぷり90分から50分程度までいろいろです。今日は、1コマ70分の授業を、35名程度の2クラスを相手に授業してきました。
まず、英語らしく発音するポイントについて、日本語と英語の音節構造の違いや音連結などについて説明、英語の歌の特徴(1音節1音符や、韻を踏むなど)を紹介してから、課題曲のWhite ChristmasをTaylor Swiftの歌でディクテーションしてもらいました。
ここでは、聞けないところを自覚してもらうのが目的なので、空欄や間違いだらけでもOK。このTaylor Swiftバージョンは、アコギとバイオリンの伴奏も味わいあり、彼女のボーカルもスローなのにしっかりとした発音でとても良い素材だと思います。
歌詞を確認した後、母音挿入しそうなところや、音が連結する箇所、同化が起きたり調音が難しいところなどを個別に解説しながら全体で練習したあと、たっぷり30分間グルグルトレーニング。
靜さんのグルグル方式に加えて、私なりにアレンジした点は、各自に歌詞カードを持たせて、ダメ出しされた箇所にワンコ足跡スタンプを押していったことです。これによって、どこでどれだけつまずいたか、その足跡から生徒も私もすぐにわかります。
前半の説明では、強面のおじさんにちょっと緊張気味だった生徒たちも、個別指導に入ってからはウソみたいに打ち解け、まるで普段から指導している生徒たちみたいな感触でした。初めはTHやV/Fなどに苦戦していた生徒たちも、「もう〜いやぁ〜〜むりぃ〜〜〜」とか良いながらもニコニコ頑張り、ようやく合格した瞬間には「よっしゃっ!」のガッツポーズ。わずか30分のトレーニングですっかりTHを克服しちゃった生徒もいました。
最後はTaylor Swiftバージョンで大合唱。時間に余裕もあったので、おまけに用意していたThe Wildheartsによるハードロックバージョンで、ビートを効かせて歌いました。ジャンプやヘドバンは出ませんでしたが、数名は足でリズムを取りながらノリノリでした。
終わった後、授業にアテンドしてくださっていた開催校の先生(英語科のネイティブスピーカー)も、グルグル方式や足跡スタンプをとても気に入ってくれて、彼自身も勉強になって楽しかったと言ってくれました。
わずか30分のトレーニングでも、コメントから読み取れるように、生徒の発音に対する意識やスキルが大きく変化するのですから、中学高校で発音指導をしっかりやれば、発音がよくなるだけでなく、聞き取りの能力もアップするし、英語全体への自信もつくはずです。
以下、生徒のコメントからいくつか拾い出してみました:
- 音楽を通して、今までおろそかにしていた正しい発音をしっかり学べて良かった。何よりも、とても楽しかった。今後教科書を読んだり、曲を歌うときには、今日学んだ楽しい(正しい?)発音で発音していきたい。
- 最初は単語も聞き取れなかったのに、最後は曲に合わせて少し歌えるようになった。舌の使い方もよくわかって良かった。これから今まで以上に洋楽を聴こうと思った。
- 今まで英語を話すのに、発音が下手だから苦手意識を持っていたが、今回の授業でかなり発音に自信が持てた。これからは今回学んだ発音をしっかり活用して、英語を学んだり、英語を使ってみたいと思った。
- 私は英語の発音が苦手で、いつも日本語にしか聞こえていなかったので、今日の授業で発音について学べて良かったです。少し英語らしくなったので、これからも練習を続けて、いつかは本物の英語になるようにしたいです。
- 発音中心ですごく英語っぽかった。今まで発音してた英語が子どもっぽかったけど、今日の授業で少し大人な英語の発音ができたと思います。歌もあって楽しかったです。
- 発音が中心だった。学校の授業でそこまで発音に関してやることはないのでとても良かった。発音の練習もクリスマスの曲を使って、1人1人とても細かく指導してもらえたので良かった。楽しかった。これから教科書を読むときも意識して頑張りたいと思った。
- 1つ1つの発音を気にして言うのは難しかったです。でも、できたときがすごくうれしくて楽しかったです。今日教えていただいたことを、これからの学習に活かしていきたいと思います。町でこの歌が流れたら自信を持って歌います!(笑)今日は、本当にありがとうございました。
- 最初は歌うなんてと思っていたけど、思ったより簡単で楽しかったです。今日で少しだけ英語がしゃべれるようになった気分になれました。
- 今までは、よく知らずにしていた発音も、ちゃんと知って発音できました。どこを強弱つけて読むかなど、よくわかりました。今までだったら普通に「メリークリスマス」と読んでいたけれど、これからはRに気をつけようと思いました。後ろに母音がつながっているものはつなげて読むとわかったので、これからは英文を読むときは注目していこうと思います。音楽で英語を学ぶことは、すごく楽しくて、発音も、単語の意味も学ぶことができて良かったです。
- 短い一文の中にも重要な発音が詰まっていて、普段から心がけることが必要だと思った。発音するときには、口の形や舌の位置に気をつけながらやることが重要で、音のつながりを言い分けること、聞き分けることも英語の発音を良くするために大切だとわかった。
- 英語の発音が今まで難しいと思っていたので、先生のおかげで少しナチュラルに発音できました。なかなか合格しませんでしたが、英語を発音するのは楽しいなと思いました。これから英語の授業では少しでも発音に注意しながら音読していきたいです。また、音の連結や注意すべきところは忘れずに注意していきたいと思います。