しばらく前から存在に気付きながら、行く前に某独り言系グルメドラマで取り上げられてしまい、機会を逸していたお店に、ようやく訪問。この辺りは、かつて母校の大学があった近所ですが、当時とは随分と様変わりしました。
職場に向かう途中ではあるのですが、この店に寄るためだけに途中下車するのも気が引けていました。しかし、なんとこの辺りに四つ球が突ける店があるという情報を得て、合わせ技で途中下車を決めました。
昼少し前、待ち行列もなくすぐに入店できました。それでも店内カウンター席はほぼ満席。ドラマの威力か?
カウンター各席の前には丸い穴が空いている鉄板があり、そこに鍋を置いて下からガスで熱するため、ひとりですき焼きやしゃぶしゃぶの鍋を占有できるというシステム。グループの場合は二階席に通されることが多いようです。
初めての訪問日、気分は完全にすき焼きモード。着席して注文を聞かれ、「これを。」とメニューの「国産牛すき焼き定食」を指差し、厠に立って戻ってみると、湯を張ったしゃぶしゃぶ鍋と、ポン酢とゴマだれの小鉢が既にセットされ、板場にも注文が通っている様子。ここでジタバタするような野暮な真似はできません。おとなしく国産牛しゃぶしゃぶ定食をいただくことに。
野菜も結構充実し、お肉も大きな良質の霜降り肉がスライスされていました。まずは野菜を投入、煮立ってきたのを見計らい、お肉をつまんでしゃぶしゃぶ、パクパクと。30代の頃なら迷わず肉を追加注文したでしょうけど(ちなみに、肉の追加は1300円)、五十路過ぎの今では、ご飯と締めのうどんも付いてくるので、これで十分。食後にはアイスコーヒーも供されました。
初回訪問唯一の禍根は、メニューを指差す位置を誤ったこと。料理には満足し、自分の過ちを悔いつつ、再訪を決心して店を後にしました。
それからしばらく経ち、夏の暑さも遠のいた頃、すき焼き定食目指して再訪する機会がありました。午前中に新宿で用を済ませて午後は大学に向かう途中、巣鴨駅で三田線に乗り換えず、ひと駅歩いて西巣鴨で昼食を取ってから職場に向かうことに。でも、西巣鴨までは意外と距離がありました。昔懐かしの丸十ベーカリー(クライスツェーン)を覗いたり、若手落語の催しを見つけたり発見もありましたが、やはり骨折した足の小指にはちょっと負担がかかり、それ以上に、簡易ギプスで靴擦れになりました。
さて、来店すると店の前には3名の待ち、店内にも2名の待ち客が。雨降る中、十数分待って入店、前回の同じ席に通されました。
今回は、指差し方式をやめ、はっきり明瞭に「国産牛すき焼き定食を。すき焼きで。」と念入りに注文。すぐに例の穴にすき焼き鍋がセットされ、点火して鍋にタレが注がれました。程なくして野菜と肉が守られた大きな皿が登場、つづいて具たっぷりの豚汁とご飯、玉子が運ばれてきました。
まずは豆腐、しらたき、白菜などの野菜を投入し、煮立ってくるのを待ちます。野菜が少ししんなりしたところで、肉を投入し、卵を小鉢に割り入れ、解きます。まずは若干レア気味の肉を玉子にくぐらせ、味わいます。うまい。あとは野菜や豆腐などと共に残りの肉を味わい、締めのうどんの少し前で、卵の追加をお願いします。これ、何も書いてませんが、無料です。
ひとつヘマしたのが、肉の下にタマネギが隠れていたこと。肉の最後の一枚をつまみ上げたところ、白い物体が。一瞬、最初に鍋で焼くべき脂身かと思いましたが、厚切りのタマネギでした。本来なら、こいつも真っ先に鍋に入れるべき一品でした。
若干の野菜と肉一切れを鍋に残したまま、うどんを投入し、割り下で薄めます。再び煮立ち、うどんにじっくり味が染み込むのを待って締めの儀式開始。鍋に残った汁を小鉢に移し入れるのに、常連さんたちは皆、軍手を持参しています(嘘)。鍋つかみは供されていないので、ハンカチとおしぼりで鍋をつかんで傾け、残りの汁も全部小鉢へ。一滴残らず堪能。
上位メニューに、上州牛を使ったメニューがありますが、国産牛でも充分満足です。常連さんたちはビーフカレーや角煮定食などを頼んでいました。次は試してみようかな。