新語の提示はやはりフラッシュカードですか?

とある研究会に参加し、教員志望学生や初任の教員向けの話を聞く。講師は中堅の現職教員。
初心者教員が陥りがちな落とし穴について、具体的にまとめられ、実演を交えて講義していた。
ありがちな悪い授業例を実演して、欠点を考えさせた後、推奨授業例も実演。
PCでスライドを提示しながら、オーラルイントロダクションで本文の内容を導入し、音読練習まで行っていた。
しかし、問題を感じたのは、新語のつづりの提示。イントロダクション中に教師が新語のつづりを書いて見せることは一切なかった。
オーラルイントロダクションの後は、「教科書なしで音読練習(文字に引っ張られない音読)」と称する活動が設定され(文字を見ずに言う練習だから、実際には音読ではなくオーラルレペティションでしょ?)、そのあと、指導プランではフラッシュカードを使って語を提示することになっていた(実演はなかったが)。
もしかすると実際の教室では丁寧に板書して見せているのかもしれないが、PCでスライドを提示しながらの導入では、絵の横にさっと板書してみせるということがやりにくいのだと改めて感じた。
語の読み方を丁寧に指導するためには、フラッシュカードという教具は逆効果だということを認識している教師は、意外と少ないんでしょうね。やはり、追放キャンペーンが必要かな。

追記

自分が運営に関わっている学会でもないし、会場の参加者もほとんどが関係者が声かけて集まっている学生や新任教員のようなので、火焔は上げずにひっそり大人しく参加。

その後の質疑応答の中で、ある学生が「普段もこういったスライドを使って授業なさっているんですか?」という質問をしていた。少し前までは機器も整っていなかったので、印刷したカードを黒板に貼ったり、自分が絵を描いたりしていたが、機器が充実してからは普段の授業でもプロジェクタを使用しているとのこと。もしかしたら、その頃の方が新語を板書したりして、より適切な導入になっていたんではと推察。

大学の教員と思しき司会者の先生が、「今後は政府の施策としてもこのようなICT機器の使用が推進されるので、是非このような機器を活用した授業ができるようにしてください」と。おいおい、もうちょっと機器の特性を踏まえて、使うべきとき・使うべきでないときを考えた活用を促したら?

というのはさておき、会場から最寄り駅まで歩きながら、フラッシュカードに依存することで、いかにつづりと音の関係を提示しにくくなっているか、生徒も語の読み方を把握しにくくなっているかについて、理論的に示すだけじゃなく、どうせならアニメーションをつけたりしながら新語を提示できるようなツールを開発して提供するという仕事もあるな、というひらめきとアイデアもいただいたので感謝。

PowerPointやKeynoteでも実現可能ですが、単語のつづりと絵を提示することに特化したツールは利用価値はあるかもしれないし、それが普及すればフラッシュカードへの無自覚な依存も減るかもしれない。

カテゴリー: 英語教育, 電脳 パーマリンク

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