BGM代わりにつけていたテレビのワイドショーでは、「敗戦」記念日にちなんで、いろいろな話題を取り上げていた。
その中で、なぜか増田ユリヤが『日米会話手帳』を紹介。
例文に添えられたカタカナが発音に忠実で工夫されていると持ち上げた後、戦後の混乱期ゆえか、手伝いとして動員した学生によるものか、いろいろな「間違い」もあったと指摘。
そのうちで、カナの振り方に関する指摘に疑問を持った。
いくつか指摘されていたうち、アメリカの独立記念日が6月4日になっているというのは確かに単純ミスだろう。
カナの振り方について話題にされていたのは、この二つの項目(現物では対訳体裁)。
此邉の者ではないので知りません。
Sorry, I can’t tell you. I’m a stranger here myself.
ソリ、アイ カーン テル ユー アイ マ ストレインヂャ ヒヤ マイ セルフ小間物屋にあります。
You can get it in a Fancy-goods store.
ユウ キャン ゲッティット インナ ファンスィ グッヅ ストア
指摘の内容は、語末の t がカナでは出てこないということではなく、同じcanなのに、イギリス発音とアメリカ発音が混在して整合性が取れていないというようなことだった。しかし、本当か?
これはむしろ、否定の意味では強形として発音されるcan’tと、肯定では弱形となるcanの発音を巧みに区別しているのでは?
can’tは言うまでもなくcan notが縮約されたものだが、実は、肯定か否定かは、語末に t があるかどうかよりも、強くはっきり発音されるか、弱くテキトーに発音されているかで区別している。
カナ表記に工夫を凝らし、それをフツーに読めば英語の発音に近い音が再生できることを目指す試みは、現在でもいろいろ提案されている。
上の例でも、get itやin aなどのリンキングを表現したり、strangerの二重母音を表現するような工夫がみられるのは興味深い。