戦時下文化を研究する漫画家の大塚英志さんへのインタビュー記事。頷くことしきり。
本当に、「イヤだ」「キモチワルイ」と思う。
有料会員記事なので、以下、無料で読めない範囲から、気になった箇所を引用(括弧内は質問の趣旨):
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(どこが重なるのか?)
「何より、『日常』や『生活』という用語の氾濫(はんらん)ですよ。『日常』や『生活』は、戦時下に盛んに用いられた戦時用語なんですよ。」
(当時の暮らしの工夫について)
「一つひとつは、否定しようのない『すてきなこと』に見えます。しかしその目的はあくまで『戦時体制をつくる』ことです。タテマエは節約や工夫によって、物資不足に備えることですが、目的は人々に戦時体制という「新しい日常」に順化させることです。それを強力に推進したのが、大政翼賛会でした」
(呼びかけの内容自体は、悪いことじゃないのでは?)
「一つ一つのいい、悪い、が問題ではありません。戦時下も今回も『政治』が人々の生活や日常全体を変えようとしていることが『正しくない』と言っているのです。政治やメディアが率先して、人々の『行動変容』『意識変容』を説く。政治が人をつくり替えようとしているわけです。その実現のために、『日常』のあり方や行動を規範としてあからさまに発信する。」
(専門家からの具体的な指針に安心感も感じたのでは?)
「コロナ騒動で、専門家会議が冗舌に語ったのは『新しい生活様式』という学級会みたいな『きまり』でしかなく、専門家が専門の言葉を放棄して『ただの人』として発信していることが少なからずありました。そういう、科学という専門性の後退が実は今回起きた気がします」
(「新しい生活様式」には、ポジティブな響きもあるが?)
「『新しい』という言葉によって、批判の対象を『旧』におとしめるというマウンティングの歴史の一つですよ。社会に停滞感がある時、人は『新』に飛びつくものです。近衛文麿の新体制が成功したのは革新運動だったからだし、戦後の「革新」も、『古い自民党』を批判して生まれた小泉政権も、戦後を『古いもの』と見なして否定する安倍政権も同じです。
(さかんに「コロナ後」が論じられているが?)
「僕は『ポストコロナの世界』を論じようとする人を信用していません。」
最後の言葉は、この頃目にする、チャラくて高い旅行業者社長とか、断捨離の燃料みたいな衣服を売りまくる会社の成り上がり社長などに感じてたモヤモヤと大きく呼応します。
https://digital.asahi.com/articles/ASN6N54S3N6HUPQJ006.html?_requesturl=articles/ASN6N54S3N6HUPQJ006.html