実家の近所に、和洋を問わず酒ビンを回収し、それをムシロの袋に粉々にしてリサイクルするのを家業としているうちがあった。我々の通称は、バリバリ屋。
学校から帰ってまだ早い時間だと、トラックの助手席に乗せてくれて、得意先の引き取り回りに連れて行ってくれた。子どもながら、酒のビンを荷台に載せるのを手伝ったりした。
回収から戻り、荷台から下ろした酒ビンをムシロの袋に投げ入れてバリバリ割らせてもらうのは、格好のストレス発散だった。
今ならそんな危ない作業を!?だとか、怪我したらどうする??とか大騒ぎされるところだが、当時は親たちだって生活に精一杯で忙しい。そんなことにいちいちかまっていられなかったのが良かったのだろう。
洋酒のえも言われぬ甘い香りや、日本酒の芳香な香りを覚えたのもこの頃だった。
当時の日本酒のフタは、今のようなプラスチックではなく、コルクの台座に金属のフタがついていたものだったので、足で蹴りつけてコルクを外し、残った金属のフタを集めて、面子のようにして遊んでいた。我々の呼び名は、酒ブタ。
子どもの世界ながら、よくある銘柄より、あまり見ないものの方が価値が高く取引された。当時はまだ獺祭などなかったが、今なら超レアもの扱いだったろう。
金属ブタには今でもそれぞれの銘柄の印が印字され、味わいを残しているが、コルクだった頃のように、フタをきれいに分離はできない。
今の小学生で、そんな遊びをしている子って、いるんだろうか?