ことの発端は、夜の十時過ぎに駅改札前でオレンジ色のジャンパー着た運動員従えて立ってる候補者に疑問を感じ、この時間に選挙活動していて問題ないのかと尋ねたところ、彼は自信満々に笑みすら浮かべ、問題ありません、肉声なら24時間オッケーです、公職選挙法をよく読んでいただければわかります、と言われたこと。
自分なりによく読み直してみました。しかし、普通に解釈すれば、そうは読めませんでした。
釈然としないので、不在者投票のために市役所に出向いた折、選挙管理委員会を訪ねて解釈を伺ってきました。
結論としては、選管の解釈としては、抵触する恐れがあるとのこと。ただ、選管は取り締まったり指導する権限はないので、もしそのようなやり方について相談を受ければ、公選法に抵触する恐れがあるので、控えた方がいいのではと答えるだけ。それでも候補者が自分の解釈で強行した場合、それを取り締まるのは警察。
該当するのはこの条文:
(夜間の街頭演説の禁止等)
第百六十四条の六 何人も、午後八時から翌日午前八時までの間は、選挙運動のため、街頭演説をすることができない。
2 第百四十条の二第二項の規定は、選挙運動のための街頭演説をする者について準用する。
3 選挙運動のための街頭演説をする者は、長時間にわたり、同一の場所にとどまつてすることのないように努めなければならない。
やっかいなことに、同法では「街頭演説」の明確な定義はなく、ただ、拡声器を用いることは妨げないような記述があるのみ。だから、上の条文も拡声器を使わない街頭演説に限ったものではないはず。別の強弁としては、改札前に立って挨拶しているだけで、選挙活動ではないと言い張ることも技術的には可能でしょうね。
おそらく、何の主張も投票のお願いもせず、ただ名を名乗り挨拶しているだけなのは、そういう逃げ道を確保しておくためなんでしょう。運動員も、ビラの束を持ってちらつかせているものの、自分から配ることはしていません。実に微妙で巧妙なやり方。
ただ、条文のテクニカルな解釈だけではなく、法の趣旨を素直に酌み取れば、夜の八時で切り上げるのが普通の解釈だろうに。こういう抜け道探しの上手な輩は、政治家としてはどうなんだろうか。
何だか後味の悪いお勉強でした。