Facebook Post: 2017-03-15T12:24:20

小学校学習指導要領案について、パブリックコメント(このカタカナ語、なんとかならんですかね?)出しました。大急ぎで書いたので、きっと誤字脱字などあるかもしれず、まとまっていませんが、出さないよりマシかと。

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今回発表された小学校学習指導要領案の外国語に関する部分について意見を述べます。なお、下の1および2については、指導要領を施行するに当たって整備しておくべきことについて述べています。

1. 引き返す勇気を持ってください。
今からでも、教育的に懸命な判断であるならば、引き返す勇気、つまり小学校に「英語」を導入することを取りやめる英断ができる勇気を求めます。
学会や各種調査では、導入を後押しするデータも出ているかもしれませんが、必ずしも導入をサポートする知見ばかりではありません。実際に指導に当たることになる教員にも、多くの不安を抱え、早期退職すら考えている者も少なくありません。ネガティブな影響にもしっかり目を向けて、真に教育的な判断をしてくださるようお願いします。
様々な問題を積み残したまま、現場の教師の頑張りだけを頼りに小学校への英語教育拡充を推し進めることは、初等教育全体に多大な影響を及ぼすことになり、国民全体の基礎力を低下させかねません。
言語教育の分野でも、外国語を早期に導入する方が効果的であるとか、中学校からでは遅いという知見は得られていません。まして、後述するように指導者養成をないがしろにした状況では、むしろ弊害の方が懸念されます。また、今回出されている小学校案は、現行の中学校の内容をほとんど踏襲したもので、入門期特有の配慮や留意事項などの言及はなく、これでは中学校での指導の前倒しを誘発するばかりか、問題の先送りならぬ、問題の前倒しになりかねません。

2. まずはきちんとした教員養成を行ってください。
「外国語活動」が導入されてから相当な年月が経過しているにもかかわらず、小学校教員の免許における外国語教育の位置づけや、教員養成課程での授業配置、また現職教員へのきちんとした研修は整っているとは言えない状況です。指導要領において「教科」として位置づけて出発する前に、それに伴う教員養成を先行して行うべきだと考えます。
これまでのような見切り発車では、現場の教員に無用な負担を強いるばかりでなく、初等教育全体への影響が懸念されます。

3. 小学校における特有の問題や留意点を充実させてください。
さて、今回発表された小学校学習指導要領案ですが、低年齢の学習者に新しい言語を指導する難しさや、入門期指導に求められるスキルなどの重要性と特異性がしっかりと明記されているとは言えず、その意味では小学校における指導の指針を示しているとは言えません。
カバーすべき内容についても、不安を抱えたまま指導に当たる教員が多いことを勘案して、多くを求めず、発音や単語の読み書きをきちんと指導することに専念するのが賢明だと思います。

4. 英語偏重、教科化を急がず原点に立ち返ってください。
小学校に外国語活動が導入された背景には異文化理解という目的がありましたが、いつのまにか外国語が「英語」に限定され、さらに異文化理解という広い目的が、実用的な英語という局所的な目的に置き換わってしまいました。
そのため、「外国語=英語」という偏狭な世界観を助長し、さらに英語という教科が入試の一科目として利用され、教育全体に歪みを生じさせることが懸念されます。
単なる国際的共通語としての英語の早期導入ではなく、ことばを通した異文化理解を大切にした教育活動になるように切望します。

5. 「原則英語」という制約を外してください。
既に述べたとおり、本来であれば広い見地に立った「外国語活動」であるはずのものが、いつの間にか「英語活動」にすり替わってしまいました。現行の学習指導要領にも「外国語活動においては,英語を取り扱うことを原則とすること」という指定があるため、英語にとどまらず、様々な外国語の音声や文字などに触れ、異文化理解を深めて世界観を広げるという指導が行えなくなっています。
今回発表の案でも、教科としての外国語については「外国語科においては,英語を履修させることを原則とすること」という指定が継承されているのは大変遺憾に思います。
また、外国語活動について、案では「外国語活動においては、言語やその背景にある文化に対する理解が深まるよう指導するとともに、外国語による聞くこと、話すことの言語活動を行う 際は、英語を取り扱うことを原則とすること」となっており、不可解な内容になっています。これは、外国語活動で英語以外の言語を扱う際には、読み・書きのスキルについてはともかく、音声スキルを扱う際には英語に限定するという意味でしょうか。
「外国語」という教科や活動が、子どもたちの視野を広げ、自らの存在や文化を振り返るための豊かな気づきや体験を提供できるように、英語に限定することはやめていただきたいと思います。

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