教科書通り

「教科書通り」

今日の診察も、チネル徴候がもっとも顕著な位置の確認。測ると、縫合部からおよそ1.6mm。前回が1.2mm。神経の再生は一日約0.1mmというのが教科書的な数値だそうで、まさにその通りの経過だそうです。

手術にあたっては、指先のような抹消部位では、神経縫合手術による有意差は認められないということでしたが、それを良い意味で裏切る経過です。

ドクター曰く、抹消の抹消だったことと、受傷後すぐのオペだったのが幸いしたのかもしれないとのこと。

あの時、「有意差はないから」と言われて諦めていたら、これほどの再生はなかったかもしれないと思うと、複雑な心境。

結局、手術の効果に有意差があるかないかということは、ある一個人の患者にとって差が出るかどうかとは、まったく無関係だということ。

いつもは実験の結果について統計的な有意差に注目して処理してたりしますが、いざ自分が統計的な有意差の対象になってみると、有意差って被験者にとって何なのだろうって考えさせられます。

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教科書通り への2件のフィードバック

  1. Koji Ishikawa on Facebook のコメント:

    そうですね。(αがいくつでの話かわかりませんが)例えば,統計的によく使う5%水準で有意差が無いというデータが出たらその実験方法には否定的な印象を持ってしまいがちですが,1%でも可能性があるならと考える患者さん(いわゆる藁をもすがる状態)の場合には意味が違ってきますね。

  2. Yoshi Awaji on Facebook のコメント:

    そうなんですよ。普段はデータとして処理している有意水準のデータの中に、まさに自分の命運が分かれる可能性が含まれることになったとき、有意差の意味合いが違って見えてくるという、貴重な体験でした。

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