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通りを渡れない!

(March 10, 2004)

空調の効いたホテルの部屋から下を眺めているのとは違って、いざ通りに出てみるとひっきりなしに鳴り響くクラクションの音やバイクのうなり、砂埃や排気ガスの臭いなどが加わって、臨場感がまったく違う。
二人乗り、三人乗り、民族衣装のアオザイをはためかせさっそうとバイクを駆る若い女性、後ろに乗った人がタンスを担いで運んでいるバイク、お父さんの前に小さな子ども、後ろのお母さんとの間にもう一人の子ども、さらに母親の腕には乳飲み子という5人乗りなど、実にさまざまな乗り方のバイクがひっきりなしに通っていく。
そんな交通を横目で眺めつつ、数ブロック歩いていった。本当はメシ屋がありそうな反対側に渡りたかったのだが、恥ずかしい話どうやって渡ったらいいか困っていた。東京のど真ん中に育った私ですら困ってしまうくらい、往来のとぎれがない。仕方なくさらに数ブロック歩いていった。通りを渡ることができないので、仕方なく反時計回りにぐるっと歩いていった。
文廟近くの信号のある大きな交差点に出たところで、しばらく角に立ってしばらく交通を眺めていた。上の方から見るのとはまた違った発見があって楽しい。ノンをかぶったおばさんが通りを無造作に渡るのを見ていて、通りのわたり方のコツがわかった。おばさんは交通の流れも見ず、バイクが行き交う通りをゆったりと歩いて渡っていった。歩行者がバイクをよけようとするのではなく、歩行者はバイクがよけやすいようにゆっくりと一定の速度で歩いていればいいのだ。無理によけようとしたり怖がったりして不用意に立ち止まると、こちらの動きを読みつつ向かってくるバイクがとまどってしまう。日本の場合、運転者たちは我先に争って走っているので、どうしても隙を見て割り込んだり、サッと渡ってしまおうとしたりすることになるが、ベトナムでは違う。すべての運転者は目の前だけではなく周囲全体の流れを読みつつ運転している。自分が減速した方が全体の流れがスムーズになるのならそうする。かといっておっとりしているばかりかというとそうでもない。左折(ベトナムでは日本と反対側を走るので、日本でいえば右折に相当する)しようとするバイクは、信号が変わる直前に手前の方でさっさと反対車線に渡ってしまい、反対車線の端をゆっくりと逆送して左に進む斜線に合流する。
おばさんを見習って、ややバイクの量が少なくなったところで勇気を出してゆっくりと歩み出し、一定の速度で反対側目指して歩いていった。行き交うバイクの数とは裏腹に、驚くほど安全に流れに乗って渡ることができた。慣れてくればこちらに向かってくるバイクを見る必要もないほど、周りのバイクが勝手によけていってくれる。試しはしなかったが、これなら目をつぶってでも渡ることができそうだ。日本でこんなことをすれば必ずはねられるだろう。

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Posted by Yoshi at 01:13 AM

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